フジブログ!!

富士市議会議員・小池よしはるのブログ
新富士駅と富士駅を、接続することは可能なのか?
富士市議会12月定例会での私の一般質問について、内容を書いておきます。(富士山世界遺産センターと富士市の観光戦略についても質問したのですが、そちらはまた今度。)
発言通告書の内容はこちらです。録画映像はこちらです。

「新富士駅と富士駅の接続」について、4行でまとめると次のとおりです。

・DMV計画は、ほぼ白紙になった(JR北海道の不祥事のため)
・新富士-富士間の需要の予測では、一日あたり700人の利用にとどまる
・身延線を伸ばすのは(土地代抜きで)130億円以上かかる
・130億円を富士市単独で捻出するのは難しい

多くの市民が、新富士駅と富士駅が接続されたら便利になると思ってるのではないでしょうか?
「新富士−富士が接続さえできれば、富士市が活性化するのに」。そんな風に言う人もいます。

私もそう思っていました。
たった徒歩21分の距離が、なぜ繋げられないのか!


もちろん接続されれば良いに決まっています。今でもそう思います。

しかし、この接続について具体的に考えれば考えるほど「これは難しいな…」ということに気がついてきました。
費用対効果や需要予測を考えると、かなり厳しいです。「たったこれだけの距離が…」と思うかもしれませんが、JR東海や国や周辺自治体がかなり積極的にならない限り、富士市の予算を中心にやるのは難しいと考えます。

まず、今の富士市には、それだけの財政的な余裕がありません。富士市の市債残高をみてください。↓の紫の線と右側のメモリがそうです。


ここ数年は、700億円弱でとどまっている状況です。(正確にいうと、この他に特別会計や企業会計の借金もあります。)
しかし数年後、市債残高は一気に増える予定です。余熱利用施設なども含めて総額で250億円ほどかかるのではと言われていますが、新環境クリーンセンター(ゴミの焼却炉)を作らなくてはいけないからです。

今の環境クリーンセンターは昭和61(1986)年に作ったもので、すでに耐用年数の限界がきて長寿命化の改修をしながら使っている状況です。ゴミの焼却炉は、絶対に作らなければいけない施設です。ということで、富士市の市債残高は過去に経験したことがないレベルまで(900億を超えるくらいまで)積み重なるだろうと予想されます。

そういうタイミングで、身延線延伸のような100億を超えるような事業に取り掛かるべきではないと、私は思います。
(私の一般質問の中で、財政部長も「かなり厳しい」と答弁していました。)

身延線を延伸する以外の他の安い方法はどうか。




例えばLRT(ライト・レール・トランジット = 次世代型路面電車)などですが、新富士-富士間の接続のためだけに作るのなら、利用者数が極端に低い無駄な路線になってしまうおそれがあります。少し説明します。

[A] 品川駅→(新幹線)→三島駅→(東海道本線)→富士駅→(身延線)→富士宮駅
[B] 品川駅→(新幹線)→新富士駅→(新設のLRT)→富士駅→(身延線)→富士宮駅


一例として、いま東京に住んでいる人が富士宮に行く場合を考えます。いまは[A]のルートを使います。それと比べて[B]はどうかという視点です。

まず値段ですが、[B]は[A]より、「新富士まで」と「三島まで」の特急料金の差額730円と、新設のLRTの乗車賃分だけ高くなります。(しかも、LRTがJRの運営でないとすると、同じ切符で乗り換えができません)

そして、かかる時間はどうかというと、「新幹線を降りて、LRTのホームまで行って切符買って、待って、乗って、移動して、富士駅で降りて、身延線のホームまで行って」というのに時間がかかってしまうと、結局のところ、[A]と同じ身延線の電車に乗ることになります。

[A]と[B]は、かなり高い確率で、到着時刻は一緒になってしまうんです。

↓これが[A]のルート


↓同じ新幹線で新富士駅まで来たとして…


↓富士駅発の身延線の時刻表をみると、一本早い身延線に乗るためには、11時35分に新富士について11時45分には富士駅にいる必要がある。10分以内で結ぶのは事実上無理。(結局、12時8分発に乗る)


到着時刻が一緒なのに、ワザワザ値段が高い乗り物に乗る人はいないでしょうし、ヤフーなどの乗り換え案内の上位に出てこなくて無視される存在になってしまうと思います(これは身延線の各駅、富士川駅、吉原駅、東田子の浦駅、岳南電車の各駅の利用者にとっても同じことです)。そもそも、鉄道の駅の近くに住んでいない大多数の富士市民にとっては、新富士駅を利用するのに、自分の車で行くか家族に車で送ってもらうかバスかタクシーなので、新富士-富士間のLRTが新設されても利用することはない。…とすると、このLRTを作っても誰が利用するのか見えてこないです。

なので、中途半端な接続の形態にするくらいなら、JR身延線を延伸すべきだと思います。しかし、身延線の延伸は土地の買収も含めて大変な工事になります。東海道本線を立体的にまたがなくてはいけないし、電車は直角に曲がれないので、カーブ区間の土地の買収が必要となります(日本製紙の引き込み線は使えないようです)。大変な工事のワリに需要予測は低いので利用料金で採算が合うようなことはない→JR東海が全部作ってくれるなんてことは考えにくいです。

まとめますと、タイトルで書いた「新富士駅と富士駅を、接続することは可能なのか?」という問いに対しては、富士市が主体になるのは現実的には相当厳しいだろう、というのが私のいまの答えになってしまいます。国や県や富士宮市などに粘り強く協力を要請していく必要があると思います。だいぶ時間がかかるでしょう。まず当面は、富士市全体のバス路線を再整備して、その中でこの富士駅−新富士のルートも強化していくのが現実的だし、取り組むべきです。

「新富士−富士が接続さえできれば、富士市が活性化するのに」→「接続できていないことが、富士市が活性化しないすべての根源」というのは少し違うかなと思います。富士市の活性化のカギはもっと地道で地味な努力の先にあるのではないか…。富士市の魅力をもっと高めて、市外・県外から訪れたくなるまち、住みたくなるまちに向けて、一歩一歩着実に進んでいかなくてはいけません。

いずれにせよ公共交通については、岳南電車の問題も含めて次の2月議会定例会で議論になろうかと思います。未来の公共交通のビジョンをしっかりと提案していきたいと思います。
| 小池よしはる | 交通 | 02:47 | comments(20) | trackbacks(0) |
4月14日に新東名がいよいよ開通。で、西富士道路は?
ブログのアクセス解析を超久しぶりに覗いてみたのですが、ここ最近「西富士道路 無料化」というような検索で過去ログにヒットした方がかなり多かったようです。

新東名が開通して、西富士道路はどうなるのか?ということですが、このことは行政やNEXCOから十分にアナウンスされていないように思います。

結論から書きますと、4月14日の新東名の開通に先立ち、今年4月1日午前0時から西富士道路は無料になるそうです。これは新東名に開通に合わせたということではなくて、「西富士道路の償還期限が今年度で終わるから」だそうで、今後は永久的に無料、料金所もなくなるかと思います。


↑は今年1月1日号の広報ふじに乗っていた地図です。新東名が開通してもカーナビの地図はすぐには対応できないと思うので、もっぱらカーナビ頼りの(私のような)人はちゃんと頭に入れておかないと混乱しそうです。

西富士道路からは、上下線とも新東名に乗り降りができます。この他に、静岡県道88号一色久沢線(運動公園や富士常葉大学の前の道を西に行ったところ)から乗り降りができます。(当初の計画では、この出入り口に「本市場大渕線」という道路が接続される予定でしたが、ご存知のとおりまだ全然できておらず、接続にはまだ数年かかります)

…というと、西富士道路から県道88号に乗り降りできそうな気がしますが、それはできません。西富士道路の始点から終点までの間で、富士市街地に乗り降りできるのは、今までどおり広見インターだけということです。久沢のあたりで西富士道路が乗り降りできれば便利なのに、と思います。

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2月20日に、新東名に視察に行って来ました。新富士インター付近からは、こんなに素晴らしい富士山がみえます。

が、非常に残念なことに、富士市内にはSA、PAは建設されません。
新富士ICより東側の「駿河湾沼津サービスエリア」では愛鷹山が邪魔して富士山がみえず、西側の「清水パーキングエリア」からは、↓こんなちょっとくらいしか、富士山がみえません。


富士市内に新東名のPA設置を求めていきたいですが、実現までにはかなり時間がかかることでしょう。県外から新東名を利用される人にはぜひ、富士山を堪能するために新富士ICで降りてもらい、富士市・富士宮市内を観光してもらいたい。そのための策を、行政からも民間からも提案していきたいと思います。

静岡県内の新東名開通に関して、川勝知事がよく使うキーワードは「内陸フロンティア」です。海の近くを通る現東名と比べて、新東名はだいぶ山沿いを通るので、これを機に静岡県の内陸部を開発しようというコンセプトのことだそうですが、富士市でも新富士IC周辺で「第二東名インターチェンジ周辺地区土地区画整理事業」が進んでいますが、ここに流通業などの企業誘致を進めていきたいところです。

開通まで、あと1ヶ月弱。これで富士市がどう変わるか、注目していきたいと思います。
| 小池よしはる | 交通 | 02:05 | comments(5) | trackbacks(0) |
岳鉄の問題について少しだけ
岳南鉄道どうなっちゃうの、という件について、前のエントリにもコメントを多数頂いていますので自分の意見を書かなきゃと思うのですが、この問題をちゃんと書くには「富士市の公共交通全体どうするか」「そもそも長期視点で富士市の街の構造をどうしたいのか」という、"でかい"話題にも触れなくてはいけないと思ってます。

けど、今は議会の会期中で、忙しくてそれを書ききるだけの体力がないので、まずは少しだけ触れさせて頂きます。(2月14日から3月22日まで2月定例会が開催されてまして、この定例会では来年度予算について話し合われるので、 毎日いろいろ調べたりで超忙しいのです。)

結論から書くと、私は(現段階では)岳南鉄道は存続されるべきだと思っています
そのために(ある程度は)税金から補助金を出す必要があると思っています。

実は、昨年末に岳南鉄道が廃止の危機というニュースを聞いた時には、「多額の税金が投入されるよりは、廃線になった方がいいのでは」という印象を持ちました。しかし、いろんなデータを見るうちに、その考えも変わって行きましたた。

さらに、昨年末のニュース以降、市民の中から「岳鉄イカシ隊」や「岳鉄レンジャー〜youngの会〜」などの団体も生まれ、岳鉄存続に向けての動きが高まってきました。この動きを注目して応援していきたいと思っています。

まず、岳鉄がどのくらい赤字かというと、…結構赤字です。

現時点で、6200万円程度の赤字、貨物輸送が無くなってしまう来年度からは9000万円近い赤字だそうです。
そして、富士市からは年間2000万円の税金が投入されています。

ここ10年間の乗客数の推移はどうかというと、実は岳鉄、乗客が減っていません。むしろ近年、微増です。 路線バスが(緑色の線)大幅減になっているのと比べて大きな違いです。

(というか、このグラフをみて路線バス利用者がこれほど減っていることがショックでした。)

私が(現段階では)岳南鉄道は存続されるべき、と思ったのが↓のデータを見たことです。

利用者一人当たりの公共負担額(年間支援額÷年間利用者数)では、路線バス約165円、しおかぜ(←コミュニティバス)約387円に比べて、岳南鉄道は約26円です。コミュニティバスの運行を続けたまま、岳南鉄道の支援を打ち切り廃線にしてしまうのは、合理的ではありません。(そもそもコミュニティバスが必要なのか、ということについての自分の考えは、いずれ書きたいと思います。)

もちろん、これだけの資料では、長期的にインフラを維持するのにいくら掛かるのかなどのことは分かりません。さらに、市長がかかげるDMVの計画との関連も気になるところです。私がここで書きたかったのは、今後数年の間は、岳南鉄道が廃線にならないように市が適切な関与をしながら、利用者増へのチャレンジを続けていくべきということです。10年・20年といったスパンでの公共交通のあり方は、これからの議論だと思います。

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上に載せた資料は、2月1日に議員全員を集めて開催された全員協議会のものです。この協議会の中で、私も挙手して意見を言ったのですが、その内容について誤解されてウワサになったりもしているようなので、ここで書いておきます。

私はその席で、「富士市内で使える公共交通のクーポンは発行できないか?」という質問をしました。

事業者に現金を渡すのではなくて、市民にクーポン(バスや岳鉄を乗るのに使えるチケットを想定)を配ったほうが良いのでは、つまり、いま「市→(補助金)→バスや鉄道の事業者」となっているのを、「市→(クーポンの配布)→市民→(クーポンの利用)→事業者」と変えて、使われたクーポンを事業者は市に持っていって現金化するという流れを作ってはどうかということです。

このクーポンの配布の例として「敬老事業」をあげました。
富士市では、敬老祝い金などの敬老事業に、1億円以上使っています。↓平成22年度決算資料

「敬老祝い金」とは何かというと、毎年敬老の日に80歳・5,000円、85歳・5,000円、90歳・1万円、95歳・1万円、100歳・30万円、105歳・1万円という風に市からお祝い金(現金)を渡す制度です(詳しくはこちらを)。お年寄りが増えているので、どんどん増えています。
例えばこの「5000円の現金」を渡す制度を「5000円の公共交通クーポン」を渡すように変えてみたら、という提案です。

この場合、敬老事業の予算が公共交通の予算に移るだけで、市からのトータル支出は増えません(むしろ期限内に使われないクーポンが沢山あれば減ります)。バスや鉄道(タクシーを含めてもいいと思います)の事業者としてみれば、それだけ補助金が増えるので良いことでしょう。祝い金の対象となるお年寄りにしてみれば、現金がクーポンになるとガッカリ感もあると思うのですが、それはお年寄りの方にとっても貴重な移動手段である「公共交通を守るため」ということで、どうにかご理解頂けないか、と思うのです。

あくまで、そういう議論をはじめてみればどうかな、5000円のうちまずは1000円分からとかはじめてみればどうかな、という提案です。

私は決して「敬老事業の1億円はいらないから削っていい」とは言ってもないし思ってもいないのでご注意ください。いまの富士市を築いてくださったお年寄りに、何らかの形でお祝いの気持ちを表すべきだと思っています。

ずっと前にDMVについてのエントリの時に書いた「お年寄りが免許証を返還したら、何万円かの公共交通クーポンを渡したらどうか」というようなことも含め、いろんなアイデアを議論に載せて考えていきたいと思います。
| 小池よしはる | 交通 | 02:39 | comments(20) | trackbacks(0) |
岳南鉄道、事業撤退の可能性も。
"ついに"というべきか…。

今朝の富士ニュース、ドキッとしました。富士ニュースは通常、第1面は各種イベントの様子や風景や草花の写真が載ってて、市政についての記事は第2面からですが、年に数回あるかないで第1面にニュースが載ります。今回は、ビックニュースと判断してのことでしょう。
富士ニュースWEB版から引用
岳南鉄道からの申し出で16日、市役所で「市公共交通協議会(会長・金指健司副市長)」が開かれ、畠山社長が運行継続が困難だとする申し出を行った。同鉄道が直面している現状を明らかにすることで、公共交通として事業を継続するべきか判断を仰ぎたかったといい「鉄道事業を続けることが適切とされたならば、市民の暮らしの足を確保するため地域で岳南鉄道を支える仕組みづくりをお願いしたい」と公的支援の充実を訴えた。

静岡新聞記事から引用
同社によると、旅客輸送は1967年度は510万人だったが、2010年度は77万人に激減。貨物も69年度の99万8千トンが10年度は6万4千トンに縮小した。さらに来春の貨物輸送の休止が追い打ちになったという。 鉄道事業収支だけでみると、10年度は6200万円の赤字が、貨物輸送が皆無となる12年度は8900万円の赤字に拡大する見込みとした。出席した委員からは「市民の足として大きな問題。真剣に考える必要がある」などと意見が出た。


岳南鉄道線の輸送量は、旅客も貨物も落ちているというのは予想はしていたのですが、実際の数字を改めて見てみると、想像以上の減少で驚きました。

富士市として税金を投入するカタチで存続させるのか、あるいは事業停止を視野に入れバスなどの代替手段の検討に入るか。もしくは、事業が上向くような妙案があるのか…。富士市議会としても、まずは来年2月に平成24年度予算の審議があるので、そこで岳南鉄道への支援額を容認するか否かというのが一つの論点になりうると思います。それまでに、いろんな人の意見を聞きたいと思っています。

2011年というのは、富士市にとって「転機の年」だと思います。いままでの体制がいよいよ立ち行かなくなってきた。いまこそ変わらなくてはいけない。痛切に感じる年の瀬です。
| 小池よしはる | 交通 | 02:15 | comments(16) | trackbacks(0) |
西富士道路、完全無料化!
無料化キタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━ !!!!

高速無料化:地方中心37路線 6月実験開始 - 毎日jp(毎日新聞)

西富士道路は6月からすべての車両、ETCの有無に関わらず完全無料化だそうです。まぁ、もともと第二東名開通のタイミングで無料化といわれていたので、1,2年早まった感じかな。
これで、富士地区の車の流れも大きく変わりそうです。

…とはいえ、西富士道路の入口と出口、富士宮の小泉若宮交差点付近と富士市の港大通りは、通勤時間帯は慢性的に渋滞してるので、どれくらいの車が大月線からシフトするのかは未知数。港大通りに関しては、本市場大渕線が開通して南北の通行量が分散しない限り仕方がないかな。

けど、自動車が自動車専用道路を利用することは、市街地の事故減少につながるし、良いことに違いありません。早いとこ東名も無料化するといいんですが…。

あと、今回の発表で嬉しいのが、東富士五湖道路の全線を含め、駿東郡小山町の須走から中央道の大月JCTまで41キロの無料化。この区間、通常料金(普通車)が1,790円もしたので気軽に使えませんでしたが、無料となれば中央道にもでやすくなります。
| 小池よしはる | 交通 | 01:10 | comments(3) | trackbacks(0) |
DMV、本当にいりますか?
昨日、前に告知したDMVに関するタウンミーティングが行われました。(あっ、このエントリは長文です…)

15名くらいの方が参加され3時間にわたり議論が交わされました。議論を通し、私もいろんな気づきがありました。
このタウンミーティングは、何か一つの結論を導きだそうという場ではなく、意見を出し合い考えを深めるためものです。以下の記述は、まとめや議事録ではなく、私が賛同した考え方は取り入れた、タウンミーティング終わった時点での私の意見です。

資料として配られたのが、富士市ホームページにも掲載されている「富士市DMV導入基本計画」です。
建設費やルートなど、基本的なことが一通りまとめてあるので、興味のある方はまずは一読を。

その基本計画の一番最初には、つぎのようなことが書いてあります。

「富士市はコンパクトシティを目指す」 → (その手段の一つとして) → 「DMVの導入」

まず、ここに2つの疑問を感じます。

1.はたして富士市は、コンパクトシティを目指すべきなのか?
2.DMVはコンパクトシティ作りの手段になるのか?


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まず1つ目、「はたして富士市は、コンパクトシティを目指すべきなのか?」

タウンミーティングでは、市議会議員の小池智明さんから富士市は将来的に「コンパクトシティを目指すべき」という話がでましたが、私は、それに反対の意見を述べました。「中心と郊外」という図式ではなく、富士市内26の地区(小学校区)ができる限り独立した生活圏、最低限の病院や食品スーパーが残るようなまちを目指すべきだと考えています。コンパクトシティに対する言葉として、ここでは「26粒のぶどう型のまち」としておきます。



コンパクトシティという考え方は素晴らしいのですが、今の時代にやることではないと思います。1970年〜1990年くらい、富士市の市街地が郊外に拡大していった時に、のちの人口減少を見越して「コンパクトシティ」という概念を唱えるべきでした。前の世代の政治家・行政マンの失政です。すでに市街地の拡大は止まり人口が減少に向かう今、コンパクトシティを目指すことは危険だと思います。現在郊外に住んでいて中心市街地に移り住む経済的余力がない人が取り残されてしまいます。そして、その人達を救うための行政コストが余計にかかってしまいます。

中心市街地に大型デパートを複数誘致し、商店街のすべてシャッターが開けられ、大渕や広見や富士見台や青葉台や鷹岡や天間や岩松や元吉原や松野からも買い物客を呼ぶ、というような夢は捨てた方がいいと思います。それよりも、26の地区すべてに「スーパー吉川」ぐらいの小さな食品スーパーが必ずあり、保育園があり、歯医者があり、内科医があり、徒歩か自転車でとりあえずの用事は事足りるような社会を作るほうが、よっぽど大事なことだし現実的、というのが私の意見です。

不思議なのは、大渕や広見や富士見台や鷹岡や天間や岩松や元吉原や松野を地盤に持つとされる市議会議員が、「コンパクトなまちづくり」という富士市の基本方針に対し、異議を唱えていないようにみえることです。

「行政コスト削減のためにコンパクトシティを目指しますよ」=「いずれ郊外地区では、道路が壊れても修繕しないし、上下水道も止めますよ。近いうちに不動産価格は限りなくゼロになりますよ。」と富士市がオフィシャルに表明しているのに…。

いずれ(30年後か50年後かに)、「はい、あなたの地区は立ち退いてください。もう行政サービスは何もしないことになりました。」と、まちに対する"死刑執行"はできるのでしょうか?

もしそれができないなら、コンパクトシティを作ったって、行政コスト削減にちっとも繋がらないワケです。

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次に2つ目「2.DMVはコンパクトシティ作りの手段になるのか?」

DMVは、電車でもフルサイズのバスでもない「マイクロバス」です。マイクロバスの輸送量では、富士市の公共交通の背骨には成り得ないのは明らかです。

富士市の26地区がDMVによって、どれだけのメリットがあるか考えてみます。()は人口です。

●メリットがあるかも:須津地区(11,895),吉永地区(8,088),原田地区(6,995),浮島地区(1,837)
●メリットが少しはあるかも:今泉地区(13,324),吉原地区(13,115),富士駅北地区(13,066),富士駅南地区(11,648),富士北地区(8,016)
●メリットがまったくないでしょ:富士南地区,田子浦地区,大淵地区,広見地区,鷹岡地区,伝法地区,丘地区,岩松地区,岩松北地区,富士川地区,元吉原地区,青葉台地区,富士見台地区,松野地区,天間地区,神戸地区,吉永北地区

コンパクトシティを目指すなら、当面必要なのが中心市街地から郊外へ向かう放射状の路線でしょう。DMVはつまるところ、原田以東の岳南鉄道沿線の沿線の人たち(3万人弱)が、乗り換えなしで市役所や中央病院や富士駅・新富士駅に行けるようにするための乗り物、というようにとらえるべきではないかと思います。

中心市街地うんぬんは、後付けの詭弁だと思います。

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もうひとつの問題が(市街地区間とは独立した問題として)、「富士駅と新富士駅の接続をどうするか」ということです。
これは、富士市が20年前から抱える大きな問題です。

富士駅・新富士駅間の輸送は、もしやるなら、本気でちゃんとしたものを作らないと、全く無駄なものになってしまいます。

富士宮など身延線の駅・富士川駅・東田子浦駅から乗る人が新幹線を使うのに、(新富士に直通できなくて)三島駅・静岡駅まで東海道線を利用することによるタイムロスは10分〜20分程度。料金の負担はゼロです。(目的地に対して新幹線特急区間が少なくなるのでむしろ若干安くなる)

三島駅経由・静岡駅経由とのガチンコの競争になるので、本数が少なく輸送量が少なく料金が高く定時制が確保されないショボイ乗り物を作っても、利用価値はありません。これにシャトルバスを使っていては、事実上不可能でしょう。

私が、DMVの導入がメリットになる可能性が少しはあると考えるのが、このA区間(富士駅-新富士駅)のみです。B区間・C区間を作らないので、南ルートということになります。A区間の南ルート、これは6億2000万円の建設費です。もし、ちゃんと機能するものが作れるならば、6億2000万円は安いと思います。


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で、もし富士市が市民のコンセンサスなくして、建設費70億1000万円、毎年の赤字1億6000万円のフルサイズのDMV計画推進に動き始めてしまったら、市民はどうすれば良いでしょうか。

動き始めた歯車を止めるには、市長が交代するのが一番早いのですが、現市長は昨年12月に再選されたばかりです。

一つの可能性は市長リコールということ。もう一つは富士市議会に期待するということかと思います。

来年まで事業が動き出さないならば、2011年4月にある富士市議会選挙でDMV推進派を当選させないことです。市議会は予算の決定について議決権があります。市議選の立候補者全員に、「推進」か「反対」か明確な意思表示を求め、選挙の争点にするべきだと思います。

で、もし今年中に事業化が決定され動き出ししまうなら…。これはもう、市長リコールを本気で考えなくてはいけない事態かと。
| 小池よしはる | 交通 | 02:47 | comments(10) | trackbacks(0) |
DMVについてのタウンミーティング
1月31日(日)に、NPO法人プラットフォーム静岡の主催で、DMV導入の是非など富士市の公共交通についてのタウンミーティングが開かれます。

詳細は↓のブログで。
http://plashizu.exblog.jp/13474264/



私もこのタウンミーティングに出席します。
私は、前々からDMVの導入には反対してきましたが(フジブログの過去記事、これとかこれとかこれとか参照)、その後富士市の公共交通について考えを深めていくなかで、その思い(DMVっていらないだろ!)は変わっていません。このタウンミーティングで、いろんな人の意見を聞ければと思っております。特に、賛成派・推進派の意見を聞きたいと思っています。興味のある方は、ぜひご参加ください。


NPO法人プラットフォーム静岡の代表の荻野さんが、「マイカーを使わずに公共交通機関だけで富士市内26箇所のまちづくりセンターを巡る」という企画を実行していて面白いです。
下記リンクよりご覧ください。

富士市まちづくりセンター巡り 〜マイカー無しでどこまで行ける!?〜 その1
富士市まちづくりセンター巡り 〜マイカー無しでどこまで行ける!?〜 その1 解説編
富士市まちづくりセンター巡り 〜マイカー無 しでどこまで行ける!?〜 その2
富士市まちづくりセンター巡り 〜マイカー無 しでどこまで行ける!?〜 その2 解説編
| 小池よしはる | 交通 | 14:17 | comments(2) | trackbacks(0) |
富士市の「まちなか」?
静岡新聞の記事より
「まちなか」集約型へ 富士市の土地利用政策
 富士市は15日、都市機能が集約したコンパクトシティを目指して検討中の土地利用政策を、市都市計画審議会に中間報告した。新幹線新富士駅、JR富士駅、市役所、吉原中央駅を結ぶエリアを街の核の「まちなか」と定め、広域的都市機能や生活必需機能がさらに集まる土地利用政策を目標に掲げた。
 高度成長や人口増加を背景として形成された市の現状を、低密度な市街地が広がり、都市機能が拡散・分散しためりはりのない街―と評価。超高齢化や人口減、環境問題の深刻化を見据え、国土利用計画など上位計画の方針をさらに明確化させ、「集約型都市構造」のイメージをまとめた。

「新幹線新富士駅、JR富士駅、市役所、吉原中央駅を結ぶエリア」って、歩けば小一時間かかるエリアをまとめて「まちなか」っていうのは広すぎじゃねwww
…と、ちょうど富士市の都市計画について思いを巡らせていたところ、焼津市の再開発についてまとめたエントリが、はてなブックマークで上位にきていて読みました。

・自滅する地方 焼津編 - シートン俗物記
http://d.hatena.ne.jp/Dr-Seton/20091016/1255699254

これ、同じように富士市バージョンと富士宮バージョンを作ろうかなと思った。富士も焼津に負けてないぜ(ひどさで)!

来年1月でイトーヨーカドー富士店が閉店して、富士駅前は大型店舗がゼロ、コンビニさえ(ほぼ)無いという、すざまじい殺風景な人口26万都市の玄関口なワケですが、つい最近、富士駅北口のビル6棟の建て替えを含む再開発計画が持ち上がってるとかいないとか。うーん、いまさら、そういうアプローチをしても無理だろうと思うワケで。(詳細を知らないんで何とも言えませんが…)
あと、DMV。そんな未知な乗り物にギャンブル的に投資する余力なんてあるのかいな?
(DMVについてはフジブログ過去記事、これとかこれとかこれとかこれとか参照)

卵が先か鶏が先かの議論になるけど、もし中心市街地復活を目指すなら、『自動車保有率が増える→自動車保有を前提としてまちが最適化される→自動車なしでは暮らしにくいまちになる→自動車保有率が増える』というループを断ち切らなきゃいけなくて、車を持たないで暮らす人を増やす/公共交通を思い切って(赤字覚悟で)充実させる、ってことしかないのかなとか思ったりしますが、バス路線の再編とか、運転免許を返上したら10年間バス乗り放題にするとか、そんな地道な施策を積み重ねていけば、意外に「まちなか」復活も近いんじゃないかと楽観的に思ったりもしてます。高齢化社会だし。エコの時代だし。

…と、その前にコンパクトシティを目指す必要はあるのか疑問なんだけど。とりあえず安易な再開発に大反対!
| 小池よしはる | 交通 | 23:23 | comments(5) | trackbacks(1) |
大井さんの立木
先週のことですが、掛川・藤枝などに行く用事のついでに、「静岡空港」を見学してきました。

空港は、6月4日の開港に向けてほぼ完成している状態ですが、(当たり前だけど)まだ中には入れませんでした。見学できるのは、空港近くの展望台からだけです。

で、何でこの時期に空港見学に行ったかというと、今しか見れない”アレ”を見ておきたかったからです。

遠くに見えるアレがそうか!アレがーーーッ!!

大井さんの立木(たちき)だぁ!(←違うかもしれないけど)

静岡空港の開港を送らせる原因となり、県知事辞任の引き金となった、(大井さんという方の所有する土地にある)立木です。おそらくは、静岡県内にあるすべての樹木の中でもっとも知名度が高い立木と思われます。国指定特別天然記念物の「狩宿の下馬桜」に匹敵するか、それ以上かも知れません。

新聞報道などによると、大井さんはこの立木を連休明けに切ってしまうようです。なんだか勿体ないような気がします。県庁職員や政治家への戒めのために、残しておくのも良いかもしれません。少なくとも、切った木材は展示するか、コースターか何かにして配布して欲しいです。(…ところで、この立木は何て種類?)


はい。そんな静岡空港ですが、開港まで40日あまりとなり、運航計画もほぼ固まってきたようです。

・富士山静岡空港の運航計画
http://www.pref.shizuoka.jp/kuukou/contents/flightsch.html
札幌線(1日2往復)
福岡線(1日3往復)
沖縄線(1日1往復)
ソウル線(1日2往復・週14往復)
上海線(週4往復)
小松線(1日2往復)
熊本線(1日1往復)
鹿児島線(1日1往復)

結構、魅力的かも!鹿児島とか熊本とか行ってみたい!
けど、これだけの路線が、何年間維持できるのでしょうか?

ついてないことに、1929年の大恐慌以来といわれる世界的金融危機の最中にありながら、1918年の「スペインかぜ」(参照:wikipedia)以来のパンデミックの可能性のある、メキシコ発「豚インフルエンザ」が話題になっています。

今回の豚インフルエンザが、「スペインかぜ」レベルの伝染病だとすると(そうでないことを願いますが…)、旅行どころじゃないし、空港どころじゃなくなってしまいますね。
| 小池よしはる | 交通 | 01:45 | comments(6) | trackbacks(0) |
富士駅が開業100周年
富士駅が誕生したのが、1909(明治42)年4月21日。ちょうど今日で100周年です!(富士駅 - Wikipedia
お(・∀・)め(・∀・)で(・∀・)と(・∀・)う!

1909年というと、伊藤博文が暗殺されたり、夏目漱石が「三四郎」を発表したりと、そんな時代だそうです。(1909年[ザ・20世紀]

そのころ、富士市はどうだったか、…といっても、そのころ"富士市"はありませんでした。

前に取り上げたことがある「市町村変遷パラパラ地図」より、1909年1月1日時点の地図。


その当時、富士駅があった場所は「加島村」。

で、「加島村」が「富士町」に変わったのが、1929年8月1日。
で、「富士町」「岩松村」「田子浦村」の1町2村が合併して「富士市」となったのが、1954年3月31日。

つまり、"富士"駅と名付けられたのは、富士町や富士市にある駅だからでは無かったということです。むしろ逆で、富士駅が"富士"駅と名付けられたことが、その後の"富士"町や"富士"市ができるきっかけとなったかもしれません。

富士駅と名付けられた経緯が、「富士を見上げながら・・・」さんの最新エントリに載っていました。
 富士駅の駅名は当初は当時の村名の「加嶋」を要請したが、鉄道省によって「富士」の駅名が採用される。
 富士山の真正面に位置している事、富士川のほとりに立地している事、一緒に誘致した会社の名前(富士製紙)、郡名が「富士郡」である事などを考慮したとされている。

なるほど。
仮に「加嶋駅」という名前になっていたとしたら、今頃どうなっていたのかなー、なんて考えてみると面白いですね。

昔の富士駅の周辺はどんな様子だったのか。たまたまYouTubeに、1957(昭和32)年の頃の富士駅の様子らしき映像が落ちてました。

道路が舗装されてないし、街の様子も全然違いますが、富士急バスは今と変わらぬシマシマですね!

さて、これから100年後、2109年の富士駅はどのようになっているのでしょうか?
私見ですが、100年先を見据えた都市計画を考えるなら、やはり身延線を延伸して新富士駅と繋げるべきだと思います。

DMVなんていう中途半端な乗り物を導入すべきでない!
…と、ここだけ太字で書いておきます。
| 小池よしはる | 交通 | 00:15 | comments(8) | trackbacks(0) |
小池よしはる(小池義治)

■小池義治(こいけ・よしはる)
1977年9月22日生まれ(45歳)

2011年4月に33歳で富士市議会議員選挙に初当選。現在、市議4期目です。
政党は完全に「無所属」で、富士市議会の会派は「草の根ふじ」に所属しています。

政治活動では、「#つぎの富士市をつくる」をキャッチフレーズに、ダイバーシティ(多様性)とサスティナビリティ(持続可能性)を大事にした政策提案を心掛けています。
YouTubeをはじめました。(YouTubeチャネルにリンク)
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