フジブログ!!

富士市議会議員・小池よしはるのブログ
産婦人科医に「ありがとう」を!
昨日、ロゼシアターで開催された「富士医療シンポジウム」を聴いてきました。
現役の産科医からの意見が聞けて、産科をめぐる現状を知る上で、分かり易くて良いシンポジウムでした。

鈴木尚市長の基調講演の後、次の4名の方の意見発表。
・産婦人科を守る会会長の細木久美さん
・望月産婦人科医院委員長の吉川充さん
・中央病院産婦人科部長の窪田尚弘さん
・富士健康福祉センター所長の鈴木輝康さん

■ありがとうメッセージについて

昨年、中央病院の産婦人科の維持を求め13万6762人もの署名を集める活動をした「産婦人科を守る会」ですが(過去記事参照)、いま取り組んでいるのが、「産婦人科医にありがとうメッセージを送ろう」という企画。

これは、分娩を担当した産科医の先生にちゃんと「ありがとうございました」って言える機会ってあまり無いよねー、ということで、「ありがとうメッセージ」を集めて(富士地区の)産科医に贈るそうです。メッセージには、産科医の先生が思い出せるように、母子または家族の写真を付けます。

去年の富士市議会で産科開業に1億円の助成が決まったりと、「お金」の面での支援策はできてきましたが、それだけで産科の先生が富士に来て残ってくれるのかな、もっと「気持ち」の面で「医師」と「市民」が歩み寄る必要があるのでは?、ということで始めたそうです。実際、シンポジウム終了後に、会場に来ていた産婦人科医の先生とお話もしましたが、「こういうの励みになります」と言っていました。


3月末まで、富士市フィランセや富士宮市保健センターで、用紙の配布や回収を「産婦人科を守る会」のメンバーが行っています。チラシを見つけたら、メッセージを是非。僕んちも書きます!

日程などの詳しい情報は↓のブログで。
http://ameblo.jp/save-sanfujinka/

産婦人科を守る会は、3月5日号の「広報ふじ」の第8面でもとりあげられています。(PDFで表示
(ちなみに第9面は、わたくしのインタビュー入りの「コミュニティf」特集!)


■産科をめぐる現状

シンポジウムでは、開業医・勤務医、それぞれのお立場で産科の現状をお話してくれました。メモったところ全部書こうと思ったんだけど、かなり長くなるし、しんどいので、3名の講演の内容+自分の意見を、ごちゃまぜにして、端折って端折ってほんの少しだけ。

↓分娩数は減ってるんだけど、それ以上の勢いで産科医は減ってる。ほんとやばい状況。


↓産科医師の女性の割合が増えてきる。30代で5割。20代だと、なんと7割が女性医師。

女性の産科医をもてはやす風潮もあって、男性で産科医を目指す人が少なくなった。
→女性医師は、医師自身がお産・子育てで休むことが多くて、研修開始後10年〜15年の勤務率は50%程度。
→医師不足がさらに拍車。これから、もっと大変なことになる。


富士地区は、人口あたりの勤務産科医の数が、現状ですでに県内で最も少ない。
→これで、中央病院の産婦人科がなくなってたらエラいことになってた((((;゜Д゜)))

・分娩による妊婦の死亡や新生児死亡率は、年々下がってきてるし、世界トップレベルの医療。
→しかし、事故が「まれ」であるが故に、すぐに医療過誤ということになる。
→過去にはマスコミの(産科医に対する)バッシングもあった。
→産科医はリスクが訴訟のリスクが高い。

産科医は、めっちゃ忙しい。24時間365日体制。
→家族と泊りがけの旅行にもいけない。
→労働条件悪くて、スタッフ確保も大変。
→産科医は、ハイリスク・ローリターンの仕事になってしまった。
→開業産科も激減中。



■今後の富士市立中央病院

さて、富士市立中央病院の産婦人科についておさらいすると、現在の慈恵医大からの医師4名のうち3名が今年3月末で中央病院からいなくなってしまいます。その替わりに、浜松医大から3名の派遣を受けることが決まっています。

そして、昨日のシンポジウムで発表されたのは、今年の秋までに、浜松医大から男性医師がもう1人派遣され5名体制になる可能性が高いそうです。これは良いニュース!

医師不足の問題は、産科だけでなく他の科においても、随分と深刻です。例えば、国政選挙・地方選挙でもっとスポットライトをあてて、医療問題をちゃんと考えてる政治家を選ぶ必要があると思います。

産婦人科の仕事は、過酷で大変な仕事だなーと改めて思いました。産婦人科の先生方、いつも本当にありがとうございます。
| 小池よしはる | 富士市立中央病院の問題 | 01:30 | comments(5) | trackbacks(0) |
富士市立中央病院の産婦人科医増員へ?
今年は、富士市の産科の問題で揺れた1年となりましたが、そんな年の瀬にちょっと吉報。

毎日新聞記事より
富士市立中央病院:産婦人科医増員へ 浜松医大派遣方針、8人態勢実現に期待 /静岡
 富士市の鈴木尚市長は、市立中央病院(山田治男院長)の産婦人科について、現状の医師4人を将来的に増員できる見込みであることを19日、明らかにした。来年4月から医師3人を派遣する浜松医科大から増員方針を伝えられたという。東京慈恵医科大から小児科医の派遣継続も決まり、周産期母子医療センターも存続することになった。
 同日の市議会定例会の答弁で、鈴木市長が明らかにした。鈴木市長は「県東部の産婦人科医療の中核病院としての機能を果たすべく、医師を増員させて充実させていくと浜松医科大から申し入れがあった」と述べた。増員の時期や人数などについては「2カ月後か3カ月後になるかは未定だが、将来的に基幹病院としての機能を持たせるように拡充すると聞いている」と答え、山田院長が要望する医師8人態勢実現への期待をにじませた。

他の新聞でも取り上げています。(静岡新聞記事読売新聞記事中日新聞記事富士ニュース記事

現在会期中の富士市議会平成20年11月定例会から、ネットで議会中継が見られるようになっていますが、市長の該当の発言は、12月19日の定例会の録画で見られます。チャプター分けされていないのですが、2時間44分経ったあたりからの海野議員の質問の中(特に3時間5分経ったあたりと3時間18分30秒経ったあたりからのからの市長の答弁)で登場します。答弁の中では、聖隷富士病院との連携可能性についても触れられていて興味深いところです。

富士市のホームページにも載っているとおり、来年4月以降の富士市立中央病院の産科は、(現状の慈恵医大からの4人の医師のうち3人の医師は引き上げ、それを補うカタチで浜松医大から3人の医師派遣により)4人態勢が維持されることになりました。

結局1年前と変わらなくて良かったねメデタシメデタシ、…とこの問題を忘れてしまうのでなく、今年1年を教訓として、持続可能な医療について、みんなで考えていかなきゃいけないなー、と思います。
| 小池よしはる | 富士市立中央病院の問題 | 03:14 | comments(3) | trackbacks(0) |
富士市立中央病院の産婦人科、新患受け入れを停止
富士ニュース記事より
富士市立中央病院の産婦人科が閉鎖の危機に陥っている問題で、同病院は23日から来年3月以降の出産となる妊婦の新規患者の受け入れを中止した。現時点で来年4月以降の産婦人科医の確保のめどが立たないため。新規患者については沼津市や静岡市を含めた産院、産科のある医療機関を案内する。
市内には現在、出産のできる医療施設は中央病院以外に3機関しかないほか、分娩を制限する動きもあり、富士地区をはじめ近隣地域の産科医療に与える影響は大きなものとなりそうだ。

読売新聞の記事より
新たに診察に来る妊婦は出産予定日が来年3月以降になる可能性があり、「経過観察も考えると、責任を持って診察できない」として、3月以降が出産予定日の妊婦には、三島市から静岡市辺りまでの医療機関に案内する方針だ。

6月23日から停止ということですが、前日22日のシンポジウムで中央病院の山田院長はそんな発言を一言もしなかったので、このニュースを見て「( ゚д゚)ポカーン」という感じがしました。この情報は現在のところ、中央病院のホームページにも載ってないし、富士市役所のホームページにも載っていません。何なんでしょう、この無責任さは…。

中央病院の産科がなくなると一番困るのが、いわゆる「ハイリスク妊婦」の診療が富士市内でできなくなり、遠く「三島市から静岡市辺りまでの医療機関」まで通う必要があることですが、それ以前に、通常分娩のキャパが足りてるのか非常に不安です。

かつて富士市内には分娩を扱う産科が13医院+中央病院産婦人科の計14ヵ所あったのが、これからは3医院のみになります。

14→3、という減り方は尋常ではありません。

ここでカミングアウトしますと…、私の妻は現在妊娠中でして、3医院のうちの1つに通っているのですが、その病院はいつ行っても混んでいるそうです。周囲から伝え聞くところによると、妊娠が発覚したら早いうちに分娩の予約をしないと受け付けてもらえなくなる、ということだったのですぐに分娩の予約しました。

今後、中央病院が対応していた分を受け入れることになる3医院にかかる負担は非常に大きくなり、さらなる激務の中、十全な処置をしてもらえるのか不安感はありますが、これは医者と神様に心からお祈りするしかありません。3医院の先生、どうかよろしくお願いしますm(__)m

…と、不安の中で出産する妊婦さん達と、医療現場の激務を思うと、「市や市立病院はこの件についてせめて説明ぐらいしろよ」と腹立たしくてたまらない気持になります。上の世代の人たちには、こんな富士市、こんな日本になっている現状に責任を感じてほしいし、今できる限りの対応に動いてほしいです。私たちの世代も含め、みんなで考えるべき問題です。

一昨年、奈良県の妊婦が18の病院に受け入れ拒否され”たらい回し”の末に亡くなった事件がありましたが、そんな悲劇が起こらないように、搬送体制・連絡体制だけはキチンと整えて欲しいです。そしてその情報を公開して欲しいです。

あとあと。
このブログのアクセス解析でリファラをみると(どこのリンクからこのブログに来たかを調べると)、m3.comという、医療従事者の間では圧倒的ナンバーワン会員制サイトの掲示板にリンクが貼られているらしく(会員制なので私は見れませんが…)、このブログの記事を多くの医者が読んでいるようなので書きますが、、、

全国の産科の先生、富士市に来て下さいm(__)m
| 小池よしはる | 富士市立中央病院の問題 | 01:16 | comments(6) | trackbacks(0) |
富士市民は今後しばらくの間、「子作り」を控えましょう
…と、センセーショナルな見出しにしてみましが、ふざけて書いているワケではありません。富士市の産科を巡る問題は、現時点ではそのくらい書いても大袈裟ではない状況だと思います。


昨日、ラ・ホール富士で開かれた「市民が力を合わせて守ろう!富士市の医療」と題されたシンポジウム(主催・地域医療を考える会)に参加して、富士市立中央病院の院長先生や産科医の先生の話を聴いてきました。そこで初めて知った日本の医療の課題もいくつかありましたが、このエントリでは焦点がぼやけないように短期的な問題、「来年4月以降、どーなっちゃうの?」ということに絞って書きます。

来年度以降の中央病院産婦人科の情勢は、現時点では下記のとおりです。

・09年3月31日で慈恵医大から派遣されているの4人の産婦人科医は全員引き揚げる
・09年4月1日以降の産婦人科医確保の具体的な目途はたっていない


もうリミットがきました。
一般的に妊婦の出産予定日は「最終生理日から280日後」という風に計算されますが、09年3月31日の280日前は08年6月24日です。

来年3月末までの間に、来年度以降の中央病院産科医が決まる可能性もあるし、そのために関係者は奔走していることと思いますが、重要なのは「現時点では決まっていない」ということです。中央病院の産科が無くなる可能性が現時点で高くなっているということです。

市内には、分娩を扱っている病院があと3つ(たむらレディースクリニック、武田産婦人科、望月産婦人科)あるので、市内での出産
は来年度以降も可能ですが、ハイリスク分娩については、富士市外の病院に移されることになる…可能性が高くなっています。

…という情報は、これから子作りを考えている夫婦は知っておくべきだし、市長は市民に対して説明責任があるんじゃないかと思います。来月とか来年とかじゃなくて「今」。

持病などで出産のリスクが高いことが事前に分かっていて、それでも子供を作ろうという夫婦もいるかと思います。「中央病院の産科がなくなる可能性が高くなっている」という情報を知った上で、それでも妊娠・出産にふみきる人もいるだろうし、もしかしたら「ちょっと待ってみようか」と思う人もいるかもしれません。分娩トラブル時の搬送体制を詳しく理解したら「作っても大丈夫」と思うかも知れないし、そうじゃないかもしれません。

その判断のための情報が公開されていません。分からないから不安なのです。今すぐに説明されるべき情報でしょう。市長はその説明責任さえ放棄しているのでしょうか?

この夏の子作りは、来年4月以降の出産になります。もうリミットなんです。
| 小池よしはる | 富士市立中央病院の問題 | 00:52 | comments(5) | trackbacks(0) |
小池よしはる(小池義治)

■小池義治(こいけ・よしはる)
1977年9月22日生まれ(45歳)

2011年4月に33歳で富士市議会議員選挙に初当選。現在、市議4期目です。
政党は完全に「無所属」で、富士市議会の会派は「草の根ふじ」に所属しています。

政治活動では、「#つぎの富士市をつくる」をキャッチフレーズに、ダイバーシティ(多様性)とサスティナビリティ(持続可能性)を大事にした政策提案を心掛けています。
YouTubeをはじめました。(YouTubeチャネルにリンク)
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