2011.09.02 Friday
鈴川工場ショック
8月3日に富士市にとって大きなインパクトがあるニュースが飛び込んできました。鈴川工場(現在の呼び方は富士工場鈴川)の全設備停止をはじめとする日本製紙グループのリストラ策が発表されたのです。(富士ニュース記事)
JR吉原駅の東側に広がる日本製紙の鈴川工場。ここは昔、大昭和製紙の本社工場があった場所であり、"富士市は大昭和の企業城下町”と呼ばれていた経緯からしてみれば城の本丸が落ちたような、そんな衝撃です。
このニュースについて、ちょっとだけ詳しくメモがわりに書いておこうかと思いますが、日本製紙の今回の8月3日のプレスリリースはこれ(pdf)です。それによると、今回のリストラの対象となったのは、以下の3つの工場です。
■日本製紙・富士工場鈴川→JR吉原駅の東側に広がる工場(地図)
■日本製紙・富士工場富士→蓼原(ふじさんめっせの東側)にある工場(地図)
■日本大昭和板紙・吉永工場→岳南鉄道の原田駅から比奈駅にかけてある工場(地図)
日本製紙グループには富士市内にもう1つ、旧三島製紙、原田小学校西側の日本製紙パピリア・原田工場(地図)がありますが、それは今回のリストラの発表の中には入っていません。で、今回のリストラでどの程度の機械が止まるかを、日本製紙グループのサイトを参照しながらみていくと次のとおりです。
■日本製紙・富士工場鈴川:抄紙機3台→0台
■日本製紙・富士工場富士:抄紙機5台→4台 & 塗工機1台→0台
■日本大昭和板紙・吉永工場:抄紙機4台→3台
日本製紙の2工場と大昭和板紙吉永をあわせて、単純に抄紙機の台数でいうと、12台→7台と約4割減になります。
(生産能力ベースも知りたかったのですがデータが載っていませんでした)
今回リリースされてる情報では、日本製紙グループ全体(全国)で、「年間80万トンの生産設備」と「人員1300人」の削減ということです。このうち富士市の3工場をあわせた生産設備の削減は、80万トンのうち半分強、42万8千トンにおよびます。富士市の工場の人員削減人数は明らかにされていませんが、生産能力と比例させて考えると、1300人の半分くらいと予想されます。600人〜700人というところでしょうか。(あくまで想像です)
これに加えて仕事を失う取引業者もいるでしょう。配置転換になって富士市から転出する従業員の方やそのご家族がいることを考えると、小売や住宅にまで影響していきます。もちろん富士市の税収にも大きな影響があります。
日本製紙グループは、他にも北海道や山口や熊本などにも多くの工場があるのに、なぜ富士市に集中させてリストラをしたのでしょうか。富士市の何が悪かったのか…。その理由のひとつに工業用水の値段が高いのではないかとも言われています。
富士市の工業用水は日本軽金属の蒲原工場の発電放流水を使っています。これを「東駿河湾工業用水道」といって静岡県の公営企業会計になっています。この料金もサイトに載っていますが、基本料金は「16円/m3」です。これが高いのか安いのか…。
ちょうど福島県のサイトに、福島県内の工業用水道料金と全国平均との比較が載っています。
富士市の「16円/m3」というのは全国平均よりは安いものの、福島県の各地と比べてかなり高いです。勿来(なこそ)というのは、日本製紙の勿来工場がある場所ですが、ここで「4.1円/m3」、富士市の4分の1の価格です。小名浜に至っては「2.4円/m3」。製紙のような工業用水を大量に使う業界では、水道料金も少しでも安いところに工場を立地しようとするのは当然のことでしょう。もっとも、工業用水は「企業会計」ということで独立採算でやっているので簡単に安くするのは難しいことですので、今後は様々な工夫が必要だと思います。
今回のリストラ策は、工業用水の問題だけでなく、工場の老朽化、あるいは地震・津波のリスクなど、いろんな要素が絡んでのことでしょう。(もし事情を知っている方が見ていたら、コメント欄ででも教えて欲しいです。)
いずれにせよ、今後は工場の「留置」ということについて、富士市もかなり真剣に取り組まなくてはいけません。富士市の工業統計(pdf)をみると、従業者にしめる「パルプ・紙・紙加工品」の割合は26.6%、製造品出荷額でみると33.7%におよびます。富士市とって製紙業は無くてはならない産業です。
JR吉原駅の東側に広がる日本製紙の鈴川工場。ここは昔、大昭和製紙の本社工場があった場所であり、"富士市は大昭和の企業城下町”と呼ばれていた経緯からしてみれば城の本丸が落ちたような、そんな衝撃です。
このニュースについて、ちょっとだけ詳しくメモがわりに書いておこうかと思いますが、日本製紙の今回の8月3日のプレスリリースはこれ(pdf)です。それによると、今回のリストラの対象となったのは、以下の3つの工場です。
■日本製紙・富士工場鈴川→JR吉原駅の東側に広がる工場(地図)
■日本製紙・富士工場富士→蓼原(ふじさんめっせの東側)にある工場(地図)
■日本大昭和板紙・吉永工場→岳南鉄道の原田駅から比奈駅にかけてある工場(地図)
日本製紙グループには富士市内にもう1つ、旧三島製紙、原田小学校西側の日本製紙パピリア・原田工場(地図)がありますが、それは今回のリストラの発表の中には入っていません。で、今回のリストラでどの程度の機械が止まるかを、日本製紙グループのサイトを参照しながらみていくと次のとおりです。
■日本製紙・富士工場鈴川:抄紙機3台→0台
■日本製紙・富士工場富士:抄紙機5台→4台 & 塗工機1台→0台
■日本大昭和板紙・吉永工場:抄紙機4台→3台
日本製紙の2工場と大昭和板紙吉永をあわせて、単純に抄紙機の台数でいうと、12台→7台と約4割減になります。
(生産能力ベースも知りたかったのですがデータが載っていませんでした)
今回リリースされてる情報では、日本製紙グループ全体(全国)で、「年間80万トンの生産設備」と「人員1300人」の削減ということです。このうち富士市の3工場をあわせた生産設備の削減は、80万トンのうち半分強、42万8千トンにおよびます。富士市の工場の人員削減人数は明らかにされていませんが、生産能力と比例させて考えると、1300人の半分くらいと予想されます。600人〜700人というところでしょうか。(あくまで想像です)
これに加えて仕事を失う取引業者もいるでしょう。配置転換になって富士市から転出する従業員の方やそのご家族がいることを考えると、小売や住宅にまで影響していきます。もちろん富士市の税収にも大きな影響があります。
日本製紙グループは、他にも北海道や山口や熊本などにも多くの工場があるのに、なぜ富士市に集中させてリストラをしたのでしょうか。富士市の何が悪かったのか…。その理由のひとつに工業用水の値段が高いのではないかとも言われています。
富士市の工業用水は日本軽金属の蒲原工場の発電放流水を使っています。これを「東駿河湾工業用水道」といって静岡県の公営企業会計になっています。この料金もサイトに載っていますが、基本料金は「16円/m3」です。これが高いのか安いのか…。
ちょうど福島県のサイトに、福島県内の工業用水道料金と全国平均との比較が載っています。
富士市の「16円/m3」というのは全国平均よりは安いものの、福島県の各地と比べてかなり高いです。勿来(なこそ)というのは、日本製紙の勿来工場がある場所ですが、ここで「4.1円/m3」、富士市の4分の1の価格です。小名浜に至っては「2.4円/m3」。製紙のような工業用水を大量に使う業界では、水道料金も少しでも安いところに工場を立地しようとするのは当然のことでしょう。もっとも、工業用水は「企業会計」ということで独立採算でやっているので簡単に安くするのは難しいことですので、今後は様々な工夫が必要だと思います。
今回のリストラ策は、工業用水の問題だけでなく、工場の老朽化、あるいは地震・津波のリスクなど、いろんな要素が絡んでのことでしょう。(もし事情を知っている方が見ていたら、コメント欄ででも教えて欲しいです。)
いずれにせよ、今後は工場の「留置」ということについて、富士市もかなり真剣に取り組まなくてはいけません。富士市の工業統計(pdf)をみると、従業者にしめる「パルプ・紙・紙加工品」の割合は26.6%、製造品出荷額でみると33.7%におよびます。富士市とって製紙業は無くてはならない産業です。