フジブログ!!

富士市議会議員・小池よしはるのブログ
富士山が世界遺産になったということ(その1)
(議会中で忙しくてブログを書くタイミングを逃してしまいイマサラ感が恥ずかしいのですが…。)

2013年6月22日夕刻、富士山が世界文化遺産登録されました。

おめでとうございます/^o^\!


↑登録が決まった瞬間の、ユネスコ公式ツイッターの投稿。

私は、2007年にNPO富士山検定協会を立ち上げ、それ以来、富士山に関連するいろんなことに取り組んできたのでとても嬉しいです。…と同時に、富士山のふもと・富士市の議員として、今後の富士山の保全に関して大きな責任も感じています。
登録に関してはマスコミで十分過ぎるくらい報道されているので、このブログではあまり触れられていないことを冷静に書いていきたいと思います。何回かに分けて書きます。

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まずは、登録名称。

日本語での名称は「富士山―信仰の対象と芸術の源泉」になりました。

英語では、

『 Fujisan, sacred place and source of artistic inspiration 』です。



ユネスコ公式サイトの画面。

富士山本体(標高約1500m以上の区域)を含む白糸の滝や浅間大社など25の構成資産をまとめて、この名称で世界遺産になったということです。

富士山は、読み方は「フジサン」です。「フジヤマ」でも「マウントフジ」でもないので注意が必要です。
外国人に英語で案内するときなど、「マウントフジ」じゃなくて「フジサン」でいいのかな、と思います。

日本語での登録名称である「信仰の対象と芸術の源泉」という日本語が、やや"カタい"、というか、「sacred」「inspiration」という言葉が持つ「人智を超えた、神々しい」というニュアンスが伝わりにくく、どうも英語の名称の方がカッコイイなと思います。(この日本語の登録名称が決まって英語に訳したというよりも、英語の登録名称を考えて日本語に訳したのかなと思いますが…)

勝手にやわらかく超訳しますと、「神聖な場所でありインスピレーションを刺激してやまない富士山」くらいでどうでしょうか?

まぁ、ここで書いても変わるワケないんですが…。登録名称はそういうことになっています。
ぜひ英語と日本語の両方で名称を覚えておきましょう。

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次に登録基準について。

前に私は次のように書きましたが、これが少し変わりました。
世界遺産の登録基準は次の10個(このうち1つ以上に該当すれば登録)で、[1]〜[6]の6つが文化遺産、[7]〜[10]の4つが自然遺産、両方にまたがると複合遺産ですが、富士山が該当するのは[3][4][6]の3つ。

世界遺産の登録基準日本ユネスコ協会連盟のWEBサイトより)
[1] 人間の創造的才能を表す傑作である。
[2] 建築、科学技術、記念碑、都市計画、景観設計の発展に重要な影響を与えた、ある期間にわたる価値感の交流又はある文化圏内での価値観の交流を示すものである。
[3] 現存するか消滅しているかにかかわらず、ある文化的伝統又は文明の存在を伝承する物証として無二の存在(少なくとも希有な存在)である。
[4] 歴史上の重要な段階を物語る建築物、その集合体、科学技術の集合体、あるいは景観を代表する顕著な見本である。
[5] あるひとつの文化(または複数の文化)を特徴づけるような伝統的居住形態若しくは陸上・海上の土地利用形態を代表する顕著な見本である。又は、人類と環境とのふれあいを代表する顕著な見本である(特に不可逆的な変化によりその存続が危ぶまれているもの
[6] 顕著な普遍的価値を有する出来事(行事)、生きた伝統、思想、信仰、芸術的作品、あるいは文学的作品と直接または実質的関連がある(この基準は他の基準とあわせて用いられることが望ましい)。
[7] 最上級の自然現象、又は、類まれな自然美・美的価値を有する地域を包含する。
[8] 生命進化の記録や、地形形成における重要な進行中の地質学的過程、あるいは重要な地形学的又は自然地理学的特徴といった、地球の歴史の主要な段階を代表する顕著な見本である。
[9] 陸上・淡水域・沿岸・海洋の生態系や動植物群集の進化、発展において、重要な進行中の生態学的過程又は生物学的過程を代表する顕著な見本である。
[10] 学術上又は保全上顕著な普遍的価値を有する絶滅のおそれのある種の生息地など、生物多様性の生息域内保全にとって最も重要な自然の生息地を包含する。


[3][4][6]の3つで申請されましたが、[4]は認められず、[3]と[6]の2つになりました。ローマ数字で表すと(iii)(vi)


文化庁のプレスリリース(PDF)より。

[3]が、信仰の対象(sacred place)にあたる部分で、
[6]が、芸術の源泉(source of artistic inspiration)にあたります。

世界中の世界遺産を巡っている外国人に、「富士山のクライテリア(基準)は何?」と聞かれたら「3と6だよ」と即答できるようにしていたいですね。

あと、今回のマスコミ報道でもさかんに使われている、「最初は自然遺産を目指していたけど、ゴミが多くてなれないから、文化遺産を目指すことになったよ」という「しょうがないから文化遺産」ストーリーなんですけど、うーん、これはどうなのかなと思っています。広く信じられてしまっていますが、ゴミさえなくなれば自然遺産になれたかというと、そうではないと思います。(もちろんゴミをなくすことが重要であることには変わりがないんですが)

これは良いとか悪いとかそういう問題ではなくて、冷静にみて富士山が自然遺産の範囲であるクライテリアの[7]〜[10]に入るポテンシャルがあるかというと微妙です。可能性としてあるとすれば、中国の泰山や韓国の済州島も基準に達しているとされた[7]、しかも[7]の単独(泰山や済州島は他の基準も満たしている)ですが、難しいだろうし、そこに拘ることに富士山の素晴らしさの本質はなかったんじゃないかと思います。手付かずの自然であることを「善」として人の手が入ることを「悪」としてしまう価値観が持ち込まれてしまうと、平安時代に末代上人が山頂に大日寺を建立したことさへ悪いこととされてしまいそうです。

世界自然遺産は英語で「World Natural Heritage」ですが、英語のもつ「natural」は日本語でいう「自然」よりも、"手付かずの""ありのままの"というニュアンスが強いように感じます。

富士山というひとつの山が、これほど古来から多様な意味付けをされ、「神」と崇められ、登ることが信仰とされ、和歌に詠まれ、浮世絵に描かれ、現代においても写真に撮られまくり、今もなお登山者が殺到する、一生に一度は登りたいと日本中の人が思う、そういう「人の営み」こそが、こんなにも珍しいし、これは後世に残さなきゃいけない!、ということで世界遺産に登録されたと理解しています。

今回、世界遺産に登録されたのは「富士山それ自体」ではなくて「富士山が大好きな私たち(と私たちの先祖)の気持ち」であって、その気持ちがカタチとなって現れたのが25の構成資産だと思います。それが私たちが本当に誇れることだし、守っていかなくてはいけない伝統です。

(連載記事で不定期に続けます。)
| 小池よしはる | 富士山 | 02:54 | comments(0) | trackbacks(0) |









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小池よしはる(小池義治)

富士市議会議員(2期目)
会派・民主連合

1977年9月22日生まれ(38歳)
富士市青葉町(富士北地区=富士中央小学区)在住

・2011年4月 富士市議選
3072票をいただき初当選
(44人立候補中 5位)

・2015年4月 富士市議選
3555票をいただき2回目の当選
(39人立候補中 1位)

7歳と4歳の子どもを子育て中

吉原小学校 → 吉原第一中学校 → 富士高校 → 早稲田大学商学部(中退)

NPO法人富士山検定協会 代表理事
元・富士市民活動センター センター長

ご連絡は、
fujiblog(あっとまーく)gmail.comまで。

facebookは、こちら。


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