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富士市議会議員・小池よしはるのブログ
すでに3億円以上を支出している「若い人が富士市に家を建てて引っ越してきたらカネをあげるよ」という小長井市長の施策は、まちの活性化に繋がっているか
前回前々回の記事について、フェイスブックなどで大きな反響をいただき、もっと富士市の予算を分かりやすく伝えて欲しいという要望もいただきましたので、これから数回の連載記事として、私が議員として感じている予算の課題などを書いていきたいと思います。


今回は、私が議会でたびたび疑問の声をあげている「スミドキU-40」について取り上げます


制度はこのようなもの↓です。WEBサイトはこちら



まずは、これにいくら使われてきたのか確認します。平成28年度までが決算額、平成29年度と30年度が当初予算額です。この制度は2013年12月の市長選で選ばれた小長井市長が就任してすぐに始めて今年度で5年目になります。

■若者世帯定住支援奨励金
2014(平成26)年度 2309万円
2015(平成27)年度 7330万円
2016(平成28)年度 7111万円
2017(平成29)年度 7800万円
2018(平成30)年度 8170万円
合計:3億2720万円



ちなみに、これは直接経費だけで、申請を受理したり確認したりする市職員の人件費は含まれていないので、これに数千万プラスした額が総額といえます。


予算書・決算書から確認したいという場合こちらにありますが、見つけるのは一苦労かもしれません(検索できないPDFですし…)。他のUJIターン施策が掲載されている2款・総務費や7款・商工費のところではなくて、「8款土木費 8項住宅費 2目住宅政策費」の中の、2.住宅政策推進費→(1)若い世代定住促進支援事業費→若者世帯定住支援奨励金という場所です。


平成29年度 当初予算(単位:千円)

平成30年度 当初予算(単位:千円)



そして、3億円以上を使った結果が↓こちらです。



一世帯につき約100万円を交付していますから、約3億円で約300世帯というのは予想どおりです。

しかし、この中にはスミドキU-40のことを知らずに、もともと富士市にUターンして家を建てる予定だったけど、住宅業者にこれ使えるよと言われて申込んだ、という人もかなりいます。その割合を正確に調べることはできないので何ともいえませんが、そういう人の分は差し引かなければ純粋に「転入増に寄与した」とは言えないでしょう。なので、その人数をいくらか差っ引いて、この事業を「数百人の転入増に寄与した」という感じで捉えたいと思います。


そして、注目したいのがどこから引っ越してきたかという「転入前居住地」です。328世帯のうち、65%にあたる214世帯が隣接する3市(富士宮市・沼津市・静岡市)からの転入、87%にあたる287世帯が県内からの転入です。

「おとなりから人口を奪ってるだけじゃん!」という感は否めません。


近隣の市町の間で、補助金を出し合って人口を奪い合うようになったら、地域全体で疲弊するだけです。そんな不毛な争いは避けるべきです。


そして、費用対効果はどうか。「数百人の転入増」に3億円超という金額をどう見るかですが…。


年齢別人口表で、人口の推移を確認してみますと…

2014(平成26)年4月1日時点 総人口:25万8241人 40歳未満人口:10万6892人
2018(平成30)年4月1日時点 総人口:25万4203人 40歳未満人口:9万8686人
最近4年間人口推移 総人口:-4038人 40歳未満人口:-8206人



この4年間だけで、40歳未満人口は「8206人」減っています。


8000人以上減少する中で3億円も使って数百人の増加を目指すのは「焼け石に水」ではないか、もっと「根本的なまちの変化」のために使うべきではないか、もっと後の世に残る支出をした方が良いのではないか、と感じています。そもそもおカネを払わないと転入してくれないような、魅力がない都市なんでしょうか富士市は。もともとある魅力を磨くことに3億円使ったらどうかと思います。

また、「40歳未満で家が買える人」は、稼ぎが良いか、安定した正社員か公務員か、親が金持ちか、いずれにせよ恵まれた状況にある人たちです。そういう人よりむしろ、不安定雇用で結婚できなかったり、ギリギリのつらい思いで子育てしている市民に対して優先的に公費は使われるべきではないか、そして市民税を納めてきた富士市民にこそ支出されるべきではないか(スミドキU-40は市外からの転入に対してしか支払われない)、と私は思い、一例として「スミドキU-40の一部を、UJIターン促進のための給付型奨学金に振り分けたらどうか」という提案を以前に一般質問でしました(その時の議事録を昨年ブログに載せました)。なお、奨学金返済の支援は、スミドキU-40に比べて少額はありますが予算化されましたので(従業員の奨学金返済を支援する制度をつくる企業に対する補助)、今年度中に発表になると思います。


スミドキU-40に関しては、昨年の富士市議会事業評価の対象になり「やや評価できる」という判定になりました(結果が掲載された議会だより)。この事業は来年度、2019(平成31)年度までとなっていますが、その後、継続事業をやるのかどうかが争点になろうかと思います。私の現時点の気持ちは、はっきり言いますと継続に否定的です。


そして、このスミドキU-40と並んで、もう一つ富士市民を対象とした「まちなかU-40」というのがあります。私は、こちらの方がさらに問題点を抱えていると思っています。これは今年度でいったん終了して、来年度はどうするのか未定ですが…。これについては、改めて何ヶ月後かに別記事にします。


スミドキU-40、皆さんはどう思われますか?
ご意見いただけたらと思います。


#nextFUJI

| 小池よしはる | 富士市議会 | 14:13 | comments(3) | trackbacks(0) |
富士市の制度について
1.首都圏の人はほかの地域よりエライのか?
  差別の理由が分かりません。
2.市街化調整区域への移住は対象外について
  既存住宅への入居、既存宅地への新築も対象にしては
  どうか?
  コンパクトシティを目指すことも大切だか、既存地域の
  振興も必要だと思います。

| 与太郎 | 2018/04/21 12:06 PM |
 「人口が増えれば税収も増えるので、移住者に補助金を出します」というのは聞こえは良いし、反対者も少ないかもしれませんが、小池さんがおっしゃるように、たまたま条件にあてはまるから補助金をもらったという人がほとんどだと思います。
 個人的には、市民を増やすためには仕事が無くては外部からの流入はなく、働く場所が無くなればその分の人口は外部へ流失するしかないと思います。ですから、産業振興にもっと力を入れるべきだと思うのですが、企業よりも市民の顔色をみてしまっているように思います。
 目の前の一時的なことにお金を使うより、反対者があっても、将来を見据えた産業都市としての発展に結びつくような施策を期待します。
| 一市民 | 2018/07/24 4:31 PM |
頭が悪く難しい事は理解出来ませんが例えば補助金が貰えるとしても個人の意見ですが富士市に住み続けたいとは思いません。とても住み辛いです。正直、簡単な事ならば今すぐにでも引越し去りたい気持ちでいっぱいです。
| 名無し | 2018/08/26 11:43 AM |









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小池よしはる(小池義治)

■小池義治(こいけ・よしはる)
1977年9月22日生まれ(45歳)

2011年4月に33歳で富士市議会議員選挙に初当選。現在、市議4期目です。
政党は完全に「無所属」で、富士市議会の会派は「草の根ふじ」に所属しています。

政治活動では、「#つぎの富士市をつくる」をキャッチフレーズに、ダイバーシティ(多様性)とサスティナビリティ(持続可能性)を大事にした政策提案を心掛けています。
YouTubeをはじめました。(YouTubeチャネルにリンク)
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